ちゅうそん看護師のつぶやき&勉強ノート

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破傷風免疫グロブリン:テタノブリン

外傷で破傷風トキソイドだけ注射する場合と、テタノブリンを合わせて注射する場合があるかと思います。

最近久しぶりにテタノブリンを使用して、後輩に何のために使用するんですか?って聞かれて、「確かリスクの高い人に追加で使うと思う」と曖昧な返答をしていました。

テタノブリンって何なのか。ちゃんと把握していなかったので調べました。

 

まず、破傷風トキソイドとテタノブリンは、どちらも破傷風予防のために使用しているでいいと思います。

ではどう違うのか。

 

破傷風トキソイドは、不活化ワクチン。不活化ワクチンとは、菌を殺して毒性をなくしたもの。能動免疫といって、生体に抗体(抗毒素)を産生させる。

テタノブリンは、抗破傷風免疫グロブリン免疫グロブリンとは、抗体のことで、菌が体内に侵入した時に体内から排除するために作られる対抗物質のこと。能動免疫といって、毒素に対する抗体(抗毒素)を投与して、破傷風の発症の予防や症状の軽減を図る。

 

では、どういう場合に破傷風トキソイドとテタノブリンが使用されるのか。

大きく二つに分けられるようです。

 

①汚染がなくきれいな創

破傷風トキソイドの予防接種歴が3回未満または不明の場合、破傷風トキソイドが必要。また、予防接種歴が3回以上で、最終接種から10年以上経過しているときは破傷風トキソイドが1回接種。

②その他のすべての創(汚いもの、糞便、土、唾液で汚染された創、刺創、裂創、銃創、粉砕された創傷、凍傷などであるが、これらに限らない)

破傷風トキソイドの予防接種歴が3回未満または不明の場合、破傷風トキソイドとテタノブリンが必要。予防接種歴が3回以上で最終接種から5年以上経過しているときは破傷風トキソイドが1回接種。

 

これらのことから、高齢者の場合は予防接種から10年以上経っていることが考えられるので、破傷風トキソイドは必要で、きれいな創でない場合はテタノブリンが必要になると考えられます。

また、1968年に破傷風トキソイドを加えた三種混合ワクチンの予防接種が始まった歴史があるので、現在52歳以上の方は、予防接種されていない可能性が高いと考えられるようです。

 

最近テタノブリンが投与された患者さんは、外での外傷で、20センチの裂創があったため投与されたと考えられました。

 

参考:INTENSIVIST⑦特集・外傷. VOL.2 NO.3 2010